マンションとは、集合住宅の形態の一つ。
マンションはバブル期に都心での土地高騰の影響やリゾートブームなどで郊外における建設が多く、またユニークで多種多様なものが提案された。通常のマンションのほか、温泉つき、フィットネスクラブつきなどのマンションもあったが、現在では管理費等がかさむことがわかり人気は衰えている。
2000年以降の都心の地価下落に伴い、再開発ラッシュによって全国的に大都市の都心部にマンション建設が続いている。ただし、同じ都心部でも超豪華なものと安価なものの二極化しておりこの傾向は今後もしばらく続くと見られている。しかしながら、これは供給側からの論理による傾向であり、人口減少が続く日本では今後需要が減っていくために建設ラッシュは早期に終了するという予測もある。
マンションの定義は、マンションに係わるそれぞれの立場によって異なる。
マンションは、その形態やタイプなどで分類することができる。以下はウィキペディアでの分類である。
但し、いわゆる不動産業内での基準は特に無いため、一般に目にする広告上の表現はバラバラである。
共同住宅の廊下幅は、建築基準法施行令により、両側に居室がある中廊下式では1.6メートル以上、その他の廊下(片廊下など)では1.2メートル以上としなければならない。
小規模なものは個人もあり得るが、一般的にはディベロッパー(不動産会社・商社・鉄道事業者等)が行うことが多い。
分譲マンションの場合、区分所有権を販売をする業者。ディベロッパーが兼ねることも多いが、販売業者が別にある場合もある。
一級建築士のいる設計事務所や設計会社。施工者の設計部門が行うこともある。
大規模な場合は大手ゼネコンが多く、小規模の場合は地場の建設会社や工務店も多い。
建設が終わった分譲マンションは、入居者によって運営されて行く事になるが、マンションの管理運営は建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)によって定められており、区分所有者と管理組合が主体となって管理運営を行うこととされている。
なお、本節は分譲マンションについての記述であり、賃貸マンションには当てはまらない。
マンションを購入すると、区分所有法に基づき名義人が区分所有者となり購入した部屋の内側(バルコニーやポーチ、専用庭などは専有部分に含まれず、各区分所有者が専用使用することができる共有部分となる。)は専有部分として自由に使用する権利を得ると同時に、廊下やエレベーター、配管などの共有部分(簡単に言えば専有部分以外の全て)を全区分所有者と共同で維持管理する義務が生じる。この権利と義務は、各専有部分の広さ(床面積)に応じて決められ、同じ広さの物件が10戸あるマンションであれば、それぞれ1/10が割り振られることになり、同様に土地に関しても1/10の所有権を持つ事になる。
なお、行政もこれを根拠に土地と建物の総時価から算出された不動産取得税と固定資産税を所有率に応じて区分所有者に課税する。
ただし、マンションはその土地と建物全体が揃ってはじめて完全に機能するため、この権利をさらに細分化したり建物と土地の権利を分割しての売買や譲渡をすることは禁止されており、また専有部分であっても管理組合の許可無くリフォームしたり改変する事は禁じられている。このように、マンションの区分所有者は維持管理に関して法律で非常に厳しい制限が課せられている。マンションの購入者は、区分所有者と表現されるように一定の部分を専有(または占有)する権利を与えられるだけであることに注意しなければならない。
集合住宅として都合が良いので公舎としてマンションを使うケースも多い。 警察や消防では居住環境が標準レベルで、集合住宅として適任である為、寮・公舎に大型マンションを使用する例が多い。自治体側が公舎として発注して建てるが、警察では一般のマンションを数棟買い取ってそのまま公舎や寮として使うケースもある。
マンションが完成し、各物件を購入した区分所有者に引渡しが始まると、区分所有法に基づき管理組合が設立される。区分所有者は原則として組合員となることが義務付けられておりその運営に携わることになる。
直接的には区分所有者から選出された理事によって適時理事会が開催され、理事会における決定に基づき管理が行われる。理事は通常任期制で、理事長・会計・監査の3役員と、マンションの規模に応じた人数の理事によって構成される。理事会の活動は、重要事項にあたる予算編成や決算の承認、マンション内の法律ともいえる管理規約の改正や法定点検の資格者への委託契約、管理の方針などを、年に1回以上開催される組合総会において諮り、いわゆる議会制民主主義の手続きによって執行される。なお、組合総会では、議決権は株主総会と同じように所有比率に応じた議決権があり、「区分所有者の数」かつ「議決権の数」の双方が条件を満たすことで可決することができる。
管理組合はそのほか修繕計画の作成、各種許認可などの管理運営に関するあらゆる権限を行使することができる。
マンションにおける管理者とは、区分所有法に定められるものである。管理者は、建物や敷地の保存をし、また集会決議を実行する者である。また、職務範囲内で、区分所有者を代理したり、共用部分を所有したりすることができる。
管理者は、総会決議があり、管理規約に制限が無ければ、だれでもなることができる。区分所有者である必要もなく、管理会社やマンション管理士がなることもある。標準管理規約では、管理組合の理事長を管理者としている。
総会決議を経てない限り、管理会社、管理員(管理人)、防火管理者などとは関係がない。
マンション管理適正化法にもとづき
の二つの国家資格がある。前者は(財)マンション管理センターが、後者は(社)高層住宅管理業協会が試験実施機関である。
マンション管理士は、区分所有者によって構成される管理組合に適切な助言などを行う専門家であり、マンション管理士でない者はマンション管理士を名乗れないだけの名称独占資格である。
管理業務主任者はマンション管理会社の必置資格であり、宅地建物取引業法に規定する宅地建物取引主任者に性格が類似している。
また、(社)高層住宅管理業協会が認定している資格として
がある。これらは法律に規定のない民間資格である。
環境やマナーに関する問題の多くは、マンションだけではなく地域全体の問題である方が多いのだが、マンションの規模の大きさからマンションが特に問題視される事がある。
以前は上階や隣の住民による騒音問題が一番であったが、管理組合が抱える昨今の一番の問題は管理費及び修繕積立金の滞納である。管理費は管理業者に法定点検や日常の清掃などの委託の為に支払われ、修繕積立金は共有部分の補修のため預金されるが、これが不足する事により管理が行き届かず補修もままならない状態が続くとマンションの価値が低下する。これにより入居率が低下することで物件価格や賃貸時の家賃相場が更に低下するという悪循環に陥りスラム化する。
管理費や修繕積立金を預金として管理している場合、大規模なマンションでは、修繕積立金が億を超える金額になることもある。その場合に、ペイオフを考慮する必要がある。緊急対応として、決済用普通預金に切り替えるなどの手法がある。管理費や修繕積立金を運用する場合、管理組合の法人登記が必要になる場合がある。
この他の問題として、管理組合は管理を委託する管理業者を自由に選択することができるが、現実には購入時に販売会社によって関連の管理会社が既に決められていたり、また、マンションの管理規約は国土交通省発行の共同住宅標準管理規約が雛形とされているが、販売会社が予め作成した管理規約への同意が購入の条件となることも多く、これには当然ながら販売会社や管理業者の意向が強く反映された内容が追加されておりトラブルになる事もある。
また、継続性が必要という業務の性質上、市場競争が作用しにくく不明瞭な契約金などでのトラブルが多数報告されており、管理業者の変更を検討した管理組合の約30%はなんらかの妨害を受けているという調査がある。 一方では管理組合にもマンション毎に温度差があり、管理会社にまかせっきりで事実上機能していない管理組合や、組合員同士が激しく対立して組合総会もままならないというケースもある。
既存の住民とマンション住民の対立が問題になっている。特に古くからの住宅地で親密なコミュニティーが形成されているところにマンションを建設する場合、環境悪化などの問題を発生させるにもかかわらずマンションの入居者が町内会などに参加しない場合が多いため、既存の住民と激しく対立する場合がある。逆に、町内会費を支払っているが、マンション住民には町内会運営に携われないという問題もある。私道の所有者に事前の協議もないままマンションを建設し、いざとなってから通行を拒否された例もある。これらはいずれも、既存住民とマンション住民のコミュニケーションが成立していないためにおこっていると考えられている。
また、マンション内部のコミュニケーション問題として騒音問題がある。80年代には上階や隣家の騒音に我慢出来なくなった住民同士の殺傷事件などが発生し一時話題になったが、昨今は低騒音マンションが増えてきており問題としての深刻度は低下している。
管理組合主催の定期的な会議・集会が開かれるため、強制参加ではないが参加せざるを得ない場合が多々あるため、「近所付合いの煩わしさから開放される」という理由でマンションを購入するのは早合点である。
多くのマンションは鉄筋コンクリート造りまたは鉄骨鉄筋コンクリート造りであり、この場合の法定耐用年数(固定資産評価や税制上の減価償却年数)は財務省(旧大蔵省)が1999年に47年としている。なお、レンガ造・石造・ブロック造は38年、木造・合成樹脂のものは22年、木造モルタルは22年である。構造上は100年持つマンションでも、配管等が劣化していくため、現実には30年程度で建替え又は大規模修繕の必要性が発生する。
建替え時は区分所有法などでは5分の4以上の合意が必要とされるが、2002年の国土交通省の発表によると、81例全てが100%の合意で建替えられている。建替えに賛成しない者がいる場合、その部屋を、建替える者による建替組合が時価で買い取らなければならない。100%の合意が取れるまでは、建設業者が積極的に関与することは稀である。
前述の構造計算書の偽造問題に際しては、報道当初は補強で対応できるとアナウンスされたことが多かったが、結果的には建物の建て替えや解体が避けられない状況となる公算が強い。
30年程の耐久年数の配管付け替えリスクを分離するため、現在では、昔のように配管を部屋の中に通す内配管方式では無くマンションの基幹配管を分離して建てるスケルトン・インフィル住宅 (外配管方式)を採用するマンションも注目されている。また、建物自体の耐久度を上げるため高耐久コンクリートを使用したり、コンクリートの腐食を抑えるため外断熱を利用した建物も注目され始めている。しかし、販売時の単価が少々割高になってしまうため、このような試みはまだまだマンション全体の数%にも及んでいないと言われている。