登記

登記とうき)とは、法に定められた一定の事柄を帳簿や台帳に記載することをいう。

一般には権利関係などを公示するため法務局(登記所)に備える登記簿に記載すること、又は、その記載をいう。そのほかには会計法などの規定に基づいて行われる国などの会計帳簿(現金出納簿など)への登記がある。

不動産登記、商業登記などの種類があるが、単に登記というときは、不動産登記を指すことが多い。

主な登記の種類

不動産登記の機能

不動産登記とは、不動産(土地・建物)の物理的現況及び権利関係を公示することを目的とする登記で、取引の安全を保護するのに役立つ(公示力)。不動産の物理的現況を公示する「表示に関する登記」と、権利関係を公示する「権利に関する登記」の2種類に分かれる。

不動産に関する物権の得喪変更(物権変動)を第三者に対抗するためには、不動産登記(権利に関する登記)をする必要がある(b:民法第177条)。例えば、不動産を購入した者は、売買契約によって所有権を取得する(民法176条。意思主義)が、その登記を怠ると、第三者に所有権を主張できないという不利益を受ける(場合によっては所有権を失うこともある)。これは、登記を信頼して取引に入った第三者を保護するとともに、このような不利益を受けないために権利者が登記を具備するよう促すことによって、実際の権利関係と登記が一致する状態を維持するためである。これによって、登記を信頼して取引関係に入ることが可能になり、取引の安全が担保されるのである。

ただし、以上とは逆に、実際には無権利者であるのに、権利者であるかのような登記がされていたとしても、これを信頼して無権利者から買い受けた者は保護されない(不動産登記には公信力がない)。

商業登記

商法の規定により、商人に関する一定の事項を商業登記簿にする登記をいう。取引の安全を重視する商法の世界において、取引の相手がどのような者か調べる便宜のために、予め一定の事項を公示しておく機能を有する。

商業登記簿に記載すべき事項については、登記の後でなければ、善意の第三者に対抗できない(消極的公示力、商法9条1項前段)。また、登記の後であれば、商業登記簿に記載すべき事項について、第三者は悪意が擬制される(積極的公示力、通説)。ただし、第三者に「正当な事由」がある場合は、当事者はその第三者に対抗できない(商法9条1項後段)。この「正当な事由」は、災害による交通の途絶や登記簿の滅失・汚損などの場合のみしか認められず、ほとんど認められる余地はない。

さらに、故意又は過失で不実の登記をした者は、不実を理由として善意の第三者に対抗できない(商法9条2項)という公信力もある。

登記手続の専門家

登記手続は、本人が行うのが原則であるが、第三者に代理させることもできる。それを職務とする専門家も法により定められている。

商業登記については、原則として司法書士又は弁護士に限られるが、例外的に公認会計士に依頼することができる場合がある。
弁護士には、不動産の表示に関する登記以外、すべての登記を依頼することができる。

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