不動産取得税(ふどうさんしゅとくぜい)は、地方税法(昭和25年7月31日法律第226号)に基づき、不動産の取得に対し、その不動産の所在する道府県が課す税金で普通税である。
課税実務上、民法上の権利取得の概念に準じて原始取得と承継取得に大別される。 原始取得とは、不動産の存在しなかった場所に新たに不動産を設けることを指し、具体的には
などを指す。 これに対して承継取得とは、既に存在する不動産を譲り受けることを指し、具体的には
などを指す。 但し、例外として以下のような非課税規定がある
不動産の取得者である。
課税標準は原則として、取得時における不動産の価格すなわち適正な時価とされる(地方税法第73条第5項)。
ここでいう適正な時価とは、不公正な取引による値引・値上を排した時価であるとされるため、実際の売買価格は使用されない。
具体的には、市町村における固定資産税の課税台帳に価格の記載がある場合はその価格を用いる。価格の記載のない場合(原始取得など)・記載の価格によりがたい場合(農地法第5条の許可による農地転用のあったとき・損壊等により課税台帳記載時より大幅に取得時点での現状が異なるときなど)に限り、固定資産税と共通の固定資産評価基準によって税額を決定する(地方税法第73条の21各号)。そして、適正な時価としての性質は、固定資産評価基準が市価の動向を考慮した基準を採用することによって担保されているとされる。
結果としては概ね固定資産税の課税標準額と同じものを用いることとなるが、固定資産税が年初における価格を用いるのに対して不動産取得税では取得時における価格を用いるため、取得のタイミングによっては固定資産税における課税標準額と異なる価格となることも珍しくない。 このことを捕捉すると、承継取得においては固定資産評価額によることが基本となるが、新たに不動産の所有権が発生することとなる原始取得の場合においては、固定資産評価額が存在しないため、固定資産評価基準により評価、決定することとなる。その後、1月1日を基準日として固定資産課税台帳に登載されることとなり、登載時点においては時間が経過していることとなる。その時間経過に対応する減価分として家屋の場合は「経年減点補正率」を乗じた価額が「固定資産評価額」として固定資産課税台帳に登載されることとなるため、固定資産評価額と不動産取得税における評価額とでは差が生じる結果となる。
上記課税標準額が以下の値に満たない場合は、不動産取得税は課されない(地方税法第73条の15の2)。
標準税率は、4%である。
但し、平成15年4月1日から平成18年3月31日までの間に不動産の取得が行われた場合に限り、標準税率を3%とする特例が設けられている(地方税法附則第11条の2)。